株式会社エリメントHRC 導入事例
属人的な育成から、再現性のある育成へ。AIロープレで進める「エリメント流コンサルティング術」の伝承
左から
採用コンサルティング事業部 ゼネラルマネージャー 若林 治郎様
マーケ&リサーチ事業部 マーケティングマネージャー 佐藤 博紀様
- 導入の背景
- ●IT/製造事業部の拡大に伴い、新人比率が高まり、教育担当者のロープレ対応工数が増加していた
- 導入後の効果
- ●教育担当者のロープレ確認工数を削減
●AIからのフィードバックが、責任者が普段見ている観点に近い水準で機能
●現場メンバーからも、練習機会の増加と客観的なフィードバックへの評価が高い
- 社名
- 株式会社エリメントHRC
- 業種
- キャリアトレーニング
人材紹介
- 従業員数
- 51名~100名
- 課題
- 教育工数の最適化
新人育成の仕組み化
面談品質の標準化
- エリア
- 関東
株式会社エリメントHRCは、「Enrich One’s mind/人の心を豊かに」をミッションに掲げ、ヘルスケア・IT・製造領域に特化した人材紹介・コンサルティングを展開する企業である。同社が大切にしているのは、単なる求人要件と経歴の照合ではない。候補者の「意向」と「性質」、そして転職先における「働き方」の間に論理の橋を架ける、独自の「エリメント流コンサルティング術」である。面談は求人紹介の前段階ではなく、候補者と企業双方にとって最適な選択肢を見極めるための中核プロセス。一方、IT/製造事業部では事業拡大に伴って新人比率が高まり、面談品質をいかに保ちながら育成を仕組み化するかが課題となっていた。
本記事では、「PeopleX AIロープレ」を導入し、「エリメント流」の伝承と育成効率化を進める同社の取り組みについて、採用コンサルティング事業部の若林様と、マーケ&リサーチ事業部の佐藤様に話を伺った。
担当者の職務
IT/製造領域の事業拡大と、候補者集客・面談品質の設計を担う
── はじめに、貴社の事業概要について教えてください。
若林様:当社は、もともと医療領域に特化したサーチファーム、ヘッドハンティングの会社としてスタートしました。創業から20周年を迎え、現在はヘルスケアに加えて、IT/製造領域にも事業を広げています。大きくは、医療領域に特化したメディカル事業部と、IT/製造事業部の2つを軸に、人材紹介サービスを展開しています。
── その中で、若林様と佐藤様はどのような業務を担当されているのでしょうか?
若林様:私は採用コンサルティング事業部のゼネラルマネージャーとして、15名のメンバーを見ています。候補者の集客からクライアント対応、商談、そしてCA(キャリアアドバイザー)の面談品質の管理・育成までが主な役割です。単に人材をご紹介するだけではなく、クライアントの採用課題と候補者の意向を正しく捉え、双方にとって納得感のある選択肢をつくることを重視しています。
佐藤様:私はマーケティングマネージャーとして6名のマネジメントをしながら、主に候補者集客および広報関連を担当しています。自社のオウンドメディア運用や、候補者の方との面談が中心です。誰に、どの求人を、どのような言葉で届けるべきかを日々検証しながら、集客の入口から面談までを一気通貫で見ています。

導入の背景と課題
急成長するIT/製造事業部で、「エリメント流」をどう伝承するか
── 今回、「AIロープレ」を導入いただきました。もともと、対人でのロープレは実施されていたのでしょうか。
若林様:はい。新人育成のプロセスの中で、ロープレは以前から実施していました。OJTの一環として、先輩や上長とロープレを重ね、実際の面談にも同席しながらスキルを身につけていく流れです。特に候補者との面談品質は、当社が最も大切にしている部分です。候補者の言葉の表面だけではなく、その背景にある感情、意思決定の理由、言語化されていない違和感まで拾いにいく面談を徹底しています。オープン/クローズド質問の使い分け、自己開示、共通点を起点にしたラポール形成などを取り入れ、一問一答の確認作業にならないようにしています。
── 研修は具体的にどれくらいの期間で行われるのですか。
若林様:まず約2週間の座学研修があります。その後、集客に関するOJT、候補者面談の同席・同行へ進みますので、トータルでは2ヶ月程度です。前半はCAの面談ロープレが中心で、RA(リクルーティングアドバイザー)の研修は後半で実施しています。
── ロープレには、決まった「型」のようなものがあるのでしょうか。
若林様:あります。当社独自の「エリメント流コンサルティング術」と呼んでいる面談の型があり、まずはその型に沿って実践できているかを確認します。候補者の方の属性や経験によって質問や提案は当然変わりますが、面談全体を貫く一本筋の通った型があります。それが、候補者の「意向」と「性質」、そして求人先での働き方を論理的につなぐという考え方です。
── 長年確立されてきた型がある中で、どのような課題を感じていたのでしょうか。
若林様:当社は長く医療・メディカル領域に特化して成長してきたため、その領域では「型」の伝承がかなり濃くできていました。一方で、後発で立ち上がったIT/製造事業部は、これから事業を伸ばしていくフェーズです。エリメント流を高い水準で実践できるメンバーを増やしていく必要がある中で、新人比率も高く、育成やロープレが後手に回ってしまう場面がありました。
佐藤様:一番大きかったのは、やはり工数の問題です。新人教育には時間がかかりますが、教える側も自身の営業数字を持っており、クライアント対応を行っています。昨年は新人が12名、今年も現時点で10名の入社が決まっており、育成対象が増えるほど、教育担当者側の負荷も大きくなっていました。
若林様:ロープレをしっかりやると、実際の面談と同じように1時間程度かかります。その間、先輩やマネジメント層のスケジュールは完全にロックされます。対応できるメンバーも限られるため、特定の社員に育成負荷が集中してしまう。これは、事業を伸ばしていく上で解決すべき課題だと感じていました。
導入の決め手
AIに任せることで、練習量とフィードバックの再現性を高められると判断
── AIロープレというサービスを知ったきっかけを教えてください。
佐藤様:2025年の年末頃に、御社の担当者である長嶋さんをLinkedInでお見かけし、ユニークな経歴に興味を持ったのがきっかけです。そこから「AIロープレ」というサービスを知りました。
ちょうどその頃、事業部内でも「新人が多く、ロープレ対応の時間が足りない」という課題が出ていました。AIロープレを導入できれば、教育にかかる時間を軽減しながら、練習機会も増やせるのではないかと考え、社長に提案して話を進めました。
── 若林様は最初、「AIとロープレする」と聞いたとき、どのように感じましたか?
若林様:正直に言えば、最初は懐疑的でした。当社には面談における独自の型があり、その中心には「意向」と「性質」という考え方があります。単に質問項目をなぞるのではなく、候補者の言葉の背景を捉え、働き方との間に論理の橋を架けていく必要があります。それをAIがどこまで理解し、どの定義に沿って評価できるのかは、最初は想像がつきませんでした。
── 他社サービスとの比較もされたのでしょうか。導入を決断された決め手は何でしたか?
佐藤様:いくつか比較検討は行いました。最終的な決め手は、時間を選ばず常時利用できることです。人が見るべき部分は人が見る。一方で、反復練習や一次的なフィードバックはAIに任せる。その切り分けができれば、育成の質を落とさずに練習量を増やせると考えました。

導入後の効果、組織内での反応
責任者の視点に近いフィードバックが得られ、育成工数の削減にも寄与
── AIロープレについて、導入後の現場の反応はいかがですか。
若林様:「思っていた以上に良い」という声が多く、現場の反応は良好です。私が懸念していた感情面や深掘りの観点についても、社内で普段指摘している内容に近いフィードバックが出てきます。実際に、面談で感情の読み取りや背景の掘り下げが苦手な傾向にあるメンバーが実施したところ、私が指摘する内容にかなり近いフィードバックが返ってきました。
当社の面談では、候補者の発する表層的な内容ではなく、その根っこにある『本質的な背景や理由』をとらえることが重要であるとしています。また、機械的に質問を消化するのではなく、候補者の意思決定の構造を理解することが大切です。AIロープレは、その観点を身につけるための練習機会を増やす仕組みとして、面談品質の底上げに寄与していると感じます。
── そのほかに、AIロープレを導入してよかったと感じている部分はありますか。
若林様:工数削減の効果も大きいです。これまでマネジメント層が複数人で長時間かけて確認していた部分の一部を、AIに任せられるようになりました。必要な箇所だけ動画を確認する運用にすれば、移動中などの短い時間でも確認できます。人が介在すべき本質的な部分に、より時間を使えるようになったことは大きいですね。
今後の活用方針やサービスに期待すること
キャリア面談から企業との商談、新人の卒業試験、ロープレ大会の予選へ。活用範囲を広げる
── 今後のサービス活用方針を教えてください。
若林様:現状はキャリア面談のロープレが中心ですが、今後は法人向け商談ロープレにも展開したいと考えています。企業の採用課題をどう捉え、どのような候補者提案につなげるかは、当社のコンサルティング品質を左右する重要な要素です。
また、当社には「新人の卒業試験」という独り立ちのためのテストがあります。仮想の候補者の設定に基づき、ヒアリングから企業の求人紹介までを行い、応募承諾をとれるか一連の流れと面談の品質を評価するものです。この卒業試験をAIのテスト機能で支援できれば、評価の一次判定や育成ポイントの可視化に有効だと考えています。
さらに、人材紹介会社数社で運営しているロープレ大会の社内予選にも、AIロープレを活用したいです。これまではマネジメント層が5〜6時間かけて採点していましたが、AIで一次採点や合否判定を行い、気になる箇所だけ動画で確認する運用にできれば、大幅な時間短縮につながります。
── 最後に、AIロープレというサービスに期待することをお聞かせください。
若林様:現時点でも問題なく活用できています。一方で、温度感や抑揚、応答の「間」など、人間同士の会話との差を感じる部分はまだあります。こうしたレスポンス設計や、評価観点のプリセット機能がさらに強化されると、より実践に近い育成環境になると思います。技術の進化によって、今後さらに良くなっていくことを期待しています。
── 貴重なお話をありがとうございました。今後の開発の参考にさせていただきます。
