人事組織科学総合研究所 Institute for Human Resources and Organization Science

記事

応募者はAI選考をどう受け止めるのか——アンケート調査・実験研究と実際の選考で異なる反応

採用選考にAIを活用する企業が増加しています。AI面接をはじめとする各種ツールの導入を検討する際、特に大きな議論となるのが「応募者はAIによる選考をどのように受け止めるのか」という点です。

応募者を対象としたアンケート調査では、AI選考に対する評価は低い傾向にあります。米国の調査会社Gartnerが2025年に公表した調査によると、AIが「自分を公平に評価してくれる」と考える応募者は26%にとどまりました。一方で、実際の採用選考において「面接官をAIにするか人間にするか」を選択できるようにした実験では、78%の応募者がAIを選択するという対照的な結果が出ています。

本稿では、応募者の反応に関する先行研究を整理し、アンケート調査・実験研究と「実際の選考」とで結果が分かれる理由を考察します。そのうえで、応募者がAIによる選考を納得して受け入れやすくなるための具体的な条件を提示します。

選考を公正だと感じるかどうかは、内定受諾率に影響する

選考に対する応募者の受け止め方は、最終的な採用の成果に直結します。米国デポール大学とペンシルベニア州立大学の心理学者 Hausknecht, Day, & Thomas(2004)は、約4万9,000人分のデータをまとめて分析しました。その結果、選考の手続きを「公正だ」と感じた応募者ほど、その企業を魅力的に評価し、内定を受諾する意向や知人にその企業を勧める意向が強くなることが示されています。

では、応募者はどのような選考を「公正だ」と感じるのでしょうか。米国ミシガン州立大学出身の組織心理学者 Gilliland(1993)は、選考における公正さを左右する主な条件として、以下の項目を挙げています。

  • 職務との関連性:選考の内容が、実際の仕事に関係していると感じられるか
  • 実力を示す機会:自分の能力や適性を十分に発揮・表現できるか
  • 一貫性:すべての応募者に対して同じ手順や基準が適用されているか
  • 双方向のコミュニケーション:質問や意見を自ら伝える機会があるか
  • 対人的な扱い:選考の担当者から丁寧で敬意のある対応を受けたか

この観点を踏まえ、応募者がAI面接に対してどのような反応を示すのかを見ていきます。

実験研究では、AI面接は公正さが低く評価される傾向に

過去に行われた実験研究では、AI面接は人による面接よりも「公正さが低い」と評価されています。その主な原因は、先述のGilliland(1993)が挙げた公正さの条件のうち、「双方向のコミュニケーション」と「対人的な扱い」という、人間同士の対話に関わる2つの要素をAI面接が満たしにくいためです。

米国アパラチアン州立大学の研究者 Acikgoz ら(2020)は、AI面接が人による面接と比べて、「手続きの公正さ」と「担当者からの扱いの公正さ」の双方で低く評価されることを示しました。特に影響が大きかったのは、「自分の質問や意見を伝える機会がない」と応募者が感じてしまう点でした。また、ドイツ・ザールラント大学の心理学者 Langer ら(2019)による実験でも、AI面接は対話相手が人間らしく感じられず、公平性も低く評価されています。

ただし注意が必要なのは、これらの実験研究の参加者が「実際にその企業へ応募していた求職者ではない」という点です。参加者は面接の様子を撮影した動画や選考場面の解説文を見て、「もし自分が応募者だったらどう感じるか」を回答しています。実際の採用の場面でも全く同じ結果になるかどうかは、この実験研究だけでは確認できません。

実際の選考では、78%の応募者がAI面接を選択

実際の採用現場で行われた実験もあります。米国シカゴ大学の経済学者 Jabarian と、オランダ・エラスムス大学ロッテルダムの経済学者 Henkel は、実際の求人に応募してきた人を対象に実験を行い、その一部には面接官をAIにするか人間にするかを選べる条件を設けました(Jabarian & Henkel, 2025)。この条件では、応募者の78%がAIを選択しました。

この実験において重要なのは、応募者に対して「合否の最終決定は人間の担当者が行う」とあらかじめ伝えていた点です。過去の実験研究には、AIが合否まで決める設定で検証したものがありました。「合否を人間が判断する」という前提が明確であれば、応募者はAI面接を受け入れやすくなると考えられます。そしてこの推測は、以下の研究によっても裏付けられています。

合否を人が判断する選考なら、受け止め方は改善する

合否判断の担い手と受け止め方

米国シートンホール大学と人材アセスメント企業Aonの研究者 Gonzalez ら(2022)は、合否決定の担い手が異なる3つの選考方式について、応募者の受け止め方を比較しました。

選考方式判断の担い手応募者の受け止め方
人間による選考人間好意的
AIが補助する選考AIの評価を参考に人間が判断好意的。AIになじみが薄い人の否定的な反応を和らげる
AIのみによる選考AIほかの2つより否定的

その結果、AIの評価を参考にしながら最終的に人間が判断する「AIが補助する選考」は、AIだけで完結する選考よりも好意的に受け止められました。フランスのビジネススクールの研究者 Mirowska & Mesnet(2022)が行ったインタビュー調査でも、回答者は「AIの評価には客観性がある」と一定の評価をしつつも、評価の過程には「人間が関わり続けること」を望んでいることが示されています。

「なぜAIを使うのか」を説明する

AIを活用する際、それを応募者へどのように説明するかによっても受け止め方は変化します。ザールラント大学の Langer ら(2021)は、AI面接について「どういう仕組みで評価されるのか」の説明と「なぜAIを使うのか」の説明について、それぞれ与えるかどうかを変えて比較する実験を行いました。

その結果、「導入の理由」の説明は仕組みの説明より効果があり、仕組みの説明はかえって反応を悪くすることもありました。ただし、丁寧な説明によって拒絶反応を和らげることはできても、企業の魅力を高めるまでの効果はみられなかった点には注意が必要です。

AI面接を導入する企業が設計すべきこと

ここまでの研究成果を踏まえると、AI面接を自社の選考プロセスに組み込む企業には、以下の3つの要素を設計に反映させることが求められます。

設計のポイント

  • 合否の最終判断は人間が行い、その旨を応募者に明記・通知する
  • 応募者が質問や意見を伝えられるコミュニケーションの機会を別途設ける
  • なぜ選考にAIを活用しているのか、その理由や意図を応募者に丁寧に説明する

「AIと人の協働」が、納得感のある選考をつくる

これまでの研究から、応募者がAI面接に抵抗を感じる理由は、質問や意見を伝える機会がないことと、AIだけで合否が決まることへの不安にあると考えられます。合否の最終判断を人間が担い、応募者が意見を伝えられる場を設け、AIを使う理由を説明する。この3点を選考の設計に組み込むことが、応募者に受け入れられるAI面接の条件です。

参考文献

  • Acikgoz, Y., Davison, K. H., Compagnone, M., & Laske, M. (2020). Justice perceptions of artificial intelligence in selection. International Journal of Selection and Assessment, 28(4), 399–416.
  • Gartner. (2025, July 31). Gartner survey shows just 26% of job applicants trust AI will fairly evaluate them [Press release]. https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2025-07-31-gartner-survey-shows-just-26-percent-of-job-applicants-trust-ai-will-fairly-evaluate-them
  • Gilliland, S. W. (1993). The perceived fairness of selection systems: An organizational justice perspective. Academy of Management Review, 18(4), 694–734.
  • Gonzalez, M. F., Liu, W., Shirase, L., Tomczak, D. L., Lobbe, C. E., Justenhoven, R., & Martin, N. R. (2022). Allying with AI? Reactions toward human-based, AI/ML-based, and augmented hiring processes. Computers in Human Behavior, 130, 107179.
  • Hausknecht, J. P., Day, D. V., & Thomas, S. C. (2004). Applicant reactions to selection procedures: An updated model and meta-analysis. Personnel Psychology, 57(3), 639–683.
  • Jabarian, B., & Henkel, L. (2025). Voice AI in firms: A natural field experiment on automated job interviews [Working paper, version of August 18, 2025]. University of Chicago Booth School of Business. (Revised version: arXiv:2607.28222, 2026)
  • Langer, M., Baum, K., König, C. J., Hähne, V., Oster, D., & Speith, T. (2021). Spare me the details: How the type of information about automated interviews influences applicant reactions. International Journal of Selection and Assessment, 29(2), 154–169.
  • Langer, M., König, C. J., & Papathanasiou, M. (2019). Highly automated job interviews: Acceptance under the influence of stakes. International Journal of Selection and Assessment, 27(3), 217–234.
  • Mirowska, A., & Mesnet, L. (2022). Preferring the devil you know: Potential applicant reactions to artificial intelligence evaluation of interviews. Human Resource Management Journal, 32(2), 364–383.

※本レポートの内容を引用・転載される場合は、出典として「人事組織科学総合研究所」を明記してください。

本調査について問い合わせる レポート一覧へ