2025.07.09

採用における母集団形成とは?意味や成功させる方法、AI面接との関係を解説

採用における母集団形成とは?意味や成功させる方法、AI面接との関係を解説

母集団形成は、自社に合った人材を効率良く集めるための活動であり、応募数の確保だけでなく、質の高い候補者をいかに戦略的に集めるかが重要です。

本記事では、母集団形成の重要性やメリット、進め方について解説します。

母集団形成とは?

母集団形成とは、採用活動において自社の求人に応募してくれる候補者を集めるための取り組みです。具体的には、求人媒体・採用サイトの活用、採用イベントの開催、スカウト活動などを通じて、応募者の母集団を構築していきます。新卒採用、中途採用のどちらにおいても重要な活動です。

母集団形成では、ただ応募者の数が多ければ良いというわけではありません。自社が求める人材をいかに多く集められるかがポイントです。母集団が小さいと選考の選択肢が限られてしまい、優秀な人材を見つけにくくなります。また、母集団の質が低いと、採用後のミスマッチや早期離職につながるリスクが高まるでしょう。

母集団が十分に大きく、質の高いものであれば、選考の幅が広がり、より自社に適した人材を採用しやすくなります。

母集団形成が重要な理由

母集団形成は採用活動において欠かせないプロセスであり、近年より重要性が高まっています。

母集団形成が重要な理由について解説します。

労働人口が減少しているため

母集団形成が重視されている理由として、少子高齢化による労働人口の減少により、売り手市場が進行していることがあります。今後もこの傾向は続くと予想されており、従来と同様の採用活動では優秀な人材の確保が難しくなるでしょう。

応募を待つだけの受け身の姿勢ではなく、積極的に候補者へアプローチする姿勢と、それを支える戦略的な母集団形成が求められています。

転職市場が活性化しているため

転職市場の活性化も母集団形成が重視される理由として挙げられます。従来の「1つの企業に生涯勤める」という考え方が変化し、キャリアアップを目的に転職する人が増えているためです。入社後に企業とのミスマッチを感じた場合、早期に転職を検討する人も少なくありません。

そのため、これまで以上に業務内容とのマッチ度が重視されており、質の高い母集団形成が必要とされています。

母集団形成を行うメリット

母集団形成は、主に次のようなメリットがあります。

  • 計画的な採用活動ができる
  • 採用の効率化を図り、コストを削減できる
  • 採用後のミスマッチを防ぎ、人材の定着率が上がる

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

計画的な採用活動ができる

母集団形成を実施することで、一定数の候補者を事前に確保できるため、採用活動全体の流れや進行状況を把握しやすくなります。その結果、採用の計画立案や対応がよりスムーズに行えます。

たとえば、アプローチした人数や、選考の各段階に進んだ人数を数値で管理することで、進捗状況の見える化が進み、より的確な対応が可能となるでしょう。

採用の効率化を図り、コストを削減できる

求める人材像に合致した母集団を形成することで、選考過程における通過率が向上し、内定までのプロセスがスムーズになります。その結果、無駄な工数が減り、採用活動全体の効率化を図れます。

さらに、選考フローの短縮や再募集の必要性が減ることで、人件費や広告費といった採用にかかるコストの削減にもつながる点も、大きなメリットのひとつです。

採用後のミスマッチを防ぎ、人材の定着率が上がる

自社の求める人物像や企業文化に合った人材の母集団を形成することで、入社後の業務内容や職場環境とのギャップが生じにくくなります。その結果、採用後のミスマッチや早期離職を防止し、社員の定着率を高めることが可能です。

長期的に活躍できる人材を採用するという観点からも、質の高い母集団形成は重要な取り組みといえます。

母集団形成の進め方

効果的に母集団形成を行うためには、採用の目的やターゲットを明確にし、適切な手法でアプローチすることが大切です。

ここでは、具体的な進め方をわかりやすく解説します。

目的を明確にする

母集団形成を進めるには、まず採用目的を明確にすることが必要です。目的がはっきりしていれば、自社に適した採用手法を選びやすくなります。

採用目的の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 新規事業拡大による企業成長の実現
  • 将来を担う若手人材の育成
  • 欠員ポジションの補充
  • 高度なスキルや外部ノウハウの導入

目的に応じて、ターゲットの設定や選考プロセスの設計も変わってくるため、母集団形成を行う前に採用の目的を明確にしておくことが不可欠です。

ターゲットを定める

採用の目的を明確にしたあとは、それに基づいて採用ターゲットを具体的に設定する必要があります。母集団形成は、単に多くの応募者を集めることが目的ではなく、自社が本当に求めている人材を確保することが重要であるためです。

そのためには、求める人物像やスキル、経験などを明確にし、採用ターゲットを設定することが欠かせません。

ターゲットを設定する際には、実際に一緒に働く現場の意見を取り入れることも大切です。業務内容や求められる能力についての具体的な情報を反映することで、より精度の高い母集団形成につながります。

採用予定数・母集団の目標値を設定する

ターゲットを設定したら、具体的な採用予定数を決定します。これにより、必要な応募者数として母集団の目標値を明確にすることができ、採用計画がより現実的で具体的になります。

母集団の目標値は、選考の通過率などを踏まえて逆算するのが一般的です。採用活動の初期段階で数値目標を明確にしておくことで、効率的に母集団形成と選考を進めていくことができます。

採用スケジュールを策定する

母集団形成の目標を定めたら、採用スケジュールを策定し、それに従って計画的に活動を進めていきます。

まずは、採用完了の期限を設定し、そこから逆算して募集開始や面接時期など、各フェーズの時期を具体的に決めていきましょう。募集から内定に至るまでの各段階において、実施時期や対応方針をあらかじめ明確にしておくことで、全体の進行がスムーズになります。

また、スケジュールを立てる際には、新卒採用と中途採用で注意すべき点が異なります。

新卒採用では、他社と同時期に動く必要があるため、業界や競合の動向を踏まえた上での早めの計画が重要です。タイミングを逸すると、優秀な人材の確保が難しくなるおそれがあります。

一方で、中途採用は時期によって応募者の動きが変わることが多く、短期間での採用が求められるケースも多いでしょう。求職者の増減傾向を把握し、時期に応じた柔軟な計画を立てることが、採用成功の鍵となります。

母集団形成の手法を決める

採用スケジュールを策定したあとは、母集団形成の手法を検討します。設定した採用ターゲットに合った手法を選ぶことが大切です。

採用対象となる人材の年齢層、職種、新卒・中途といった区分、求めるスキルや経歴などを踏まえて、最適なアプローチ方法を選定しなければなりません。

たとえば、新卒採用を行う場合は、合同説明会への参加や自社開催の会社説明会、インターンシップの実施などが効果的です。一方、中途採用では、人材紹介サービスの活用や求人広告の掲載、スカウト型サービス(ダイレクトリクルーティング)などが有効な手段となります。

採用活動を実施する

策定したスケジュールに従い、各種採用活動を実施していきます。

採用活動を成功させるには、実施している施策の有効性を見極めることが重要です。そのために、各採用チャネルごとの応募数や選考通過率、最終的な入社率といったデータを収集・可視化し、活動の成果を客観的に評価する必要があります。

効果測定の結果をもとに、必要に応じて採用方法やターゲットの見直しを行い、より効果的な母集団形成へとつなげましょう。

母集団形成の課題

母集団形成の過程では、いくつかの課題に直面することもあります。主なものとしては、以下の2点が挙げられます。

  • 目標の人数が確保できない
  • 母集団の質が低い

人数の確保が難しい場合は、企業の知名度や求人情報の露出を高める工夫が必要です。

求人の認知度を高めるための方法としては、合同説明会への参加や会社説明会の開催、SNSを活用した情報発信などが挙げられます。

母集団の質が低い場合は、採用目的やターゲット像を再確認し、それにあった採用手法や媒体の見直しが必要です。

母集団形成の課題解決に役立つAI面接

母集団形成の課題を解決する有効な手法のひとつに、AI面接があります。AI面接とは、人工知能(AI)を活用して行われる面接手法のことです。

ここでは、AI面接の概要と母集団形成に役立つ理由を解説します。

AI面接とは?

AI面接は、従来のように人間の面接官が対面またはオンラインで行う面接とは異なり、AIに面接官の役割の一部を代替させる方法です。応募者がAIシステムとやりとりを行い、その内容をAIが分析・評価します。

応募者はパソコンやスマートフォンを通じて、質問に回答します。回答は音声・映像・テキストなどで記録され、事前に設定した基準に基づいて応募者の適性を自動で評価するという仕組みです。

AI面接についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

AI面接とは?メリットや導入時の注意点・ポイントを詳しく解説

AI面接が母集団形成に有用な理由

AI面接は、スマートフォンやパソコンがあれば好きな時間に受けられるため、応募者にとって参加しやすいのがメリットです。場所や時間の制約がないことで、より多くの応募者の参加を促し、母集団の拡大につながります。

また、AIは24時間365日面接が可能であり、AIがAIが面接の一次選考を担うことで、応募者との日程調整などの採用担当者の負担が軽減されます。多くの応募者を受け入れる余裕が生まれ、母集団形成の規模を拡大しやすくなるでしょう。

応募者の評価はAIが設定した基準に沿って進めるため、面接官による主観的な評価のばらつきを抑えることができます。その結果、多様な応募者を公平に選定でき、質の高い母集団の形成につながるでしょう。

まとめ

近年は、少子高齢化や転職市場の活性化により、優秀な人材の確保が困難になっており、戦略的な母集団形成の重要性が高まっています。単に応募数を増やすのではなく、ターゲットに合致した人材を効率的に集めることが重要です。

採用目的やターゲットを明確にし、効果的な手法でアプローチすることが、母集団形成に成功する鍵となります。

課題になりやすい「目標人数の確保」や「母集団の質の向上」を図るには、AI面接の導入も有効な手段のひとつです。

この記事を担当した人

PeopleX コンテンツグループ

人事・労務・採用・人材開発・評価・エンプロイーサクセス等についての用語をわかりやすく解説いたします。

これまでに出版レーベル「PeopleX Book」の立ち上げ、書籍『エンプロイーサクセス 社員が成功するための7つの指針』の企画・編集、PeopleX発信のホワイトペーパーの企画・編集などを担当しました。

株式会社PeopleXについて
エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の開発・運営をはじめとした、新しい時代に適合したHR事業を幅広く展開する総合HRカンパニーです。

PeopleX AI面接の資料を無料でダウンロードいただけます

PeopleX AI面接の資料

下記について詳しく解説しています

  • PeopleXの対話型AI面接サービスとは?
  • サービスの特徴
  • 導入効果
  • 詳細機能
  • 料金プラン
  • よくあるご質問(FAQ)