2025.10.08
採用成功に導く面接官の心得|役割から質問例、NG行動まで徹底解説
「来週、初めて面接官を任されたけど、何から準備すればいいのだろう…」「自己流で面接してきたけど、本当にこれで良いのかな?」そんな悩みを抱えていませんか。採用の成否は、面接官の立ち居振る舞い一つで大きく変わります。候補者にとって、面接官は企業の「顔」そのもの。あなたの言動が、会社の未来を左右すると言っても過言ではありません。この記事では、採用を成功に導く面接官の役割から、具体的な質問例、そして絶対に避けるべきNG行動まで、網羅的に解説します。この記事を読めば、自信を持って面接に臨み、優秀な人材を見抜く力が身につくはずです。
なぜ今、面接官の心得が重要なのか?採用における3つの役割
現代の採用活動において、企業は候補者から「選ばれる」立場にあります。だからこそ、面接官が果たすべき役割を正しく理解することが、採用成功への第一歩となります。面接官には、単に候補者を評価するだけではない、大きく分けて3つの重要な役割があるのです。それぞれの役割を意識することで、面接の質は格段に向上するでしょう。
候補者を見極める「評価者」としての役割
面接官の最も基本的な役割は、候補者が自社の求める人材かどうかを正しく見極める「評価者」であることです。スキルや経験はもちろん、企業文化に合う人柄か、将来的に活躍できるポテンシャルを秘めているかなど、多角的な視点から判断する力が求められます。そのためには、事前に採用基準を深く理解し、客観的な評価を行うための準備が欠かせません。
自社の魅力を伝える「広報担当」としての役割
面接は、企業が候補者に自社の魅力を直接アピールできる絶好の機会です。面接官は、いわば「歩く広告塔」。仕事のやりがい、企業文化の素晴らしさ、働く仲間たちの魅力などを、自身の言葉で生き生きと伝える役割を担っています。候補者が「この会社で働きたい!」と強く感じるかどうかは、面接官の魅力的なプレゼンテーションにかかっていると言えるでしょう。
企業のブランドを体現する「企業の顔」としての役割
候補者にとって、面接で出会う社員は「その会社で働く人」の代表です。面接官の丁寧な言葉遣いや真摯な態度は、そのまま「この会社は人を大切にする会社だ」という印象につながります。反対に、横柄な態度や準備不足が透けて見えると、企業のブランドイメージを大きく損ないかねません。面接官は常に「自分は会社の顔である」という意識を持つことが大切です。
採用の質を高める!面接官が持つべき5つの基本姿勢
優れた面接官になるためには、具体的なテクニックの前に、まず基本となる「姿勢」を身につけることが重要です。これから紹介する5つの基本姿勢は、候補者との信頼関係を築き、採用のミスマッチを防ぐための土台となります。面接の場に立つ前に、ぜひ心に刻んでおいてください。
1. 企業の代表であるという自覚を持つ
面接官は、単なる一人の社員ではありません。候補者の前では、会社全体を代表する存在です。あなたの立ち居振る舞い、発する言葉の一つひとつが、会社のイメージを形作ります。面接の時間だけでなく、受付での対応や面接後の見送りまで、常に会社の代表としてふさわしい、誠実で丁寧な対応を心がけましょう。
2. 候補者とは対等な立場であることを忘れない
面接は、企業が候補者を「選ぶ」場であると同時に、候補者が企業を「選ぶ」場でもあります。決して「評価してやる」という上から目線の態度をとってはいけません。候補者の貴重な時間を使ってもらっていることに感謝し、一人のビジネスパーソンとして敬意を払いましょう。対等な立場で接することで、候補者もリラックスし、本音を話しやすくなります。
3. 先入観を捨て、客観的な視点で評価する
「有名大学出身だから優秀だろう」「若すぎるから経験不足だろう」といった先入観は、正しい評価の妨げになります。学歴や職歴、性別、年齢などの表面的な情報で判断せず、候補者自身の発言や行動に基づいて評価することが鉄則です。面接官複数人で評価基準をすり合わせるなど、個人的な主観に頼らない仕組み作りも有効です。
4. 候補者の本音を引き出す雰囲気を作る
候補者が緊張していては、その人の本来の魅力や能力を見抜くことはできません。面接官の重要なスキルの一つが、候補者がリラックスして話せる「場作り」です。穏やかな口調で話したり、適度に相づちを打ったり、笑顔を見せたりすることを意識しましょう。候補者が「この人になら本音で話せる」と感じられるような、安心感のある雰囲気作りが大切です。
5. 採用基準と求める人物像を明確に理解する
「どんな人を採用したいのか」が曖昧なまま面接に臨むと、評価の軸がブレてしまいます。面接前には必ず、今回の採用ポジションで求めるスキル、経験、人柄などを具体的に確認しましょう。評価項目をリスト化し、各項目でどのようなレベルを求めるのかを言語化しておくことが重要です。これにより、面接官による評価のバラつきを防ぎ、一貫性のある採用ができます。
面接成功は準備で決まる!当日までにすべきこと
「面接は当日のコミュニケーションが全て」だと思っていませんか?実は、面接の成否の8割は事前の準備で決まります。準備を万全にすることで、当日は余裕を持って候補者と向き合うことができ、より深く相手を理解することが可能になります。ここでは、面接官が当日までに必ずやっておくべき2つのことを解説します。
応募書類(履歴書・職務経歴書)の丁寧な読み込み
応募書類は、候補者との対話の出発点です。ただ眺めるのではなく、気になる点や深掘りしたい点をチェックしながら読み込みましょう。
- これまでの経験と今回の募集ポジションの共通点はどこか?
- なぜこのタイミングで転職を考えているのだろうか?
- 経歴の中で、特に詳しく聞いてみたい実績はどれか?
このように疑問を持ちながら読むことで、当日の質問がより具体的で鋭いものになります。
質問リストの作成と評価基準のすり合わせ
ぶっつけ本番で質問をすると、聞くべきことを聞き漏らしたり、評価に偏りが出たりしがちです。事前に質問リストを作成し、どの質問で候補者の何を見極めたいのかを明確にしておきましょう。さらに、複数の面接官がいる場合は、評価基準のすり合わせが不可欠です。「コミュニケーション能力」という項目でも、人によって解釈が異なります。「論理的に話せること」なのか、「相手の意図を汲み取れること」なのか、具体的な評価基準を共有しておきましょう。
【4ステップで解説】面接当日の基本的な進め方
いよいよ面接当日。限られた時間の中で候補者の本質を見抜き、自社の魅力も伝えきるためには、スムーズな進行が鍵となります。ここでは、面接を効果的に進めるための基本的な4つのステップをご紹介します。この流れを意識するだけで、面接の質が安定し、候補者にも良い印象を与えることができます。
STEP1:導入・アイスブレイクで緊張をほぐす
まずは面接官から自己紹介をし、本日の面接の流れを簡単に説明します。そして、すぐに本題に入るのではなく、「今日は暑い中ありがとうございます」「ここまで迷わず来られましたか?」といった簡単なアイスブレイクを挟みましょう。この数分の気遣いが、候補者の過度な緊張を和らげ、本来の力を発揮しやすい雰囲気を作ります。
STEP2:質問を通して候補者の能力・人柄を見極める
ここからが面接の本番です。準備した質問リストをもとに、候補者の経験やスキル、考え方などを深掘りしていきます。大切なのは、一方的に質問を浴びせるのではなく、「対話」を心がけることです。候補者の回答には丁寧に耳を傾け、「なぜそう思ったのですか?」「具体的にはどのように行動したのですか?」など、さらに踏み込んだ質問を重ねていきましょう。
STEP3:逆質問を受け付け、自社の魅力を伝える
候補者からの質問は、彼らの意欲や企業理解度を測る重要な時間です。同時に、企業が候補者に直接魅力を伝える絶好のチャンスでもあります。入社後の働き方がイメージできるような具体的な情報や、会社の将来性などを誠実に伝えましょう。候補者の不安や疑問を解消し、「この会社で働きたい」という気持ちを高めることを目指してください。
STEP4:クロージングと今後の流れを丁寧に説明する
面接の最後には、時間を割いてくれたことへの感謝を伝えます。そして、選考結果の連絡時期や次のステップなど、今後の流れを具体的に説明しましょう。この丁寧なクロージINGが、候補者の満足度を高め、「誠実な会社だ」という最後の印象を決定づけます。最後まで気を抜かず、気持ちの良いコミュニケーションで締めくくることが大切です。
候補者の本質を見抜く!目的別の質問例集
「どんな質問をすれば、候補者の本当の姿が見えるのだろう?」これは多くの面接官が抱える悩みです。やみくもに質問するだけでは、表面的な答えしか返ってこないかもしれません。ここでは、「経験・スキル」「価値観・人柄」「志望意欲」という3つの目的別に、候補者の本質に迫るための質問例をご紹介します。
経験・スキルを確認するための質問例
過去の行動に関する具体的なエピソードを聞き出すことで、書類だけでは分からない実践的な能力を見極めます。
- 「これまでの仕事で、最も大きな成果を上げた経験について教えてください。その際、どのような課題があり、どう乗り越えましたか?」
- 「プロジェクトでチームの意見が対立した際、あなたはどのように対応しましたか?」
- 「募集職種で必要なスキルについて、業務で活かした具体的な経験を教えてください。」
価値観・人柄を理解するための質問例
仕事に対する考え方や人との関わり方についての質問を通して、企業文化との相性を確認します。
- 「仕事をする上で、あなたが最も大切にしていることは何ですか?」
- 「どのような人と一緒に働きたいと思いますか?また、どのような人が苦手ですか?」
- 「成長するために、日頃から意識していることや学習していることはありますか?」
志望意欲の高さを測るための質問例
企業や事業内容についてどれだけ深く理解しているか、入社後にどう貢献したいかを問うことで、本気度を測ります。
- 「当社のサービスや事業について、どのような点に魅力を感じていますか?」
- 「もし入社された場合、あなたの経験をどのように活かして当社に貢献できると思いますか?」
- 「キャリアプランについてお聞かせください。5年後、10年後にどのようになっていたいですか?」
企業の評判を落とす!面接官が絶対に避けるべきNG行動・質問
たった一度の不適切な面接が、SNSなどを通じて瞬く間に広がり、企業の評判を大きく損なう可能性があります。候補者に「この会社には入りたくない」と思わせてしまうような行動や質問は、絶対にあってはなりません。ここでは、面接官が肝に銘じておくべきNG行動と、法律違反にもなりかねないタブーな質問について解説します。
候補者に不快感を与える態度や行動
無意識のうちに、候補者を不快にさせてしまう行動があります。これらは信頼関係を壊し、企業のイメージを著しく低下させる原因になります。
- 遅刻や準備不足:候補者を待たせる、応募書類に目を通していないなどは論外です。
- 威圧的な態度:腕を組む、足を組む、貧乏ゆすりをするなど。
- 話を聞かない:候補者の話を途中で遮る、パソコンばかり見て目を合わせないなど。
- 否定的な発言:「あなたの経験ではうちでは通用しない」など、候補者の人格や経歴を否定するような言動。
【要注意】法律違反になりかねないタブーな質問
これから挙げる質問は、候補者の適性や能力とは関係がなく、就職差別につながる可能性があるため、法律で禁止されています。これらの質問は、たとえ雑談のつもりでも絶対に避けてください。
- 本人に責任のない事項:本籍地、出生地、家族構成(職業、学歴、収入など)
- 本来自由であるべき事項:思想・信条(宗教、支持政党など)、人生観、尊敬する人物
- 男女雇用機会均等法に抵触する質問:結婚や出産の予定、恋人の有無など
【withコロナ時代必須】オンライン面接を成功させる3つのコツ
近年、採用活動のスタンダードとなったオンライン面接。場所を選ばない利便性がある一方で、対面とは異なる難しさもあります。ここでは、オンラインならではのポイントを押さえ、画面越しでも候補者の心をつかみ、採用を成功させるための3つのコツをご紹介します。
事前に通信環境やツールを万全に整える
面接中の音声トラブルや映像の乱れは、お互いの集中力を削ぎ、スムーズなコミュニケーションを妨げます。事前に使用するツール(Zoom、Teamsなど)の操作方法を確認し、通信環境が安定している場所で面接に臨みましょう。可能であれば、同僚と接続テストを行っておくとさらに安心です。
対面時よりも大きなリアクションを心がける
オンラインでは、表情や声のトーンが伝わりにくく、無表情に見えがちです。対面の時よりも1.5倍くらい大きなリアクションを意識しましょう。
- 相づちははっきりと声に出す:「はい」「なるほど」
- 頷きは少し大きく
- 笑顔を意識する
こうした少しの工夫が、画面越しに「あなたの話をしっかり聞いていますよ」というメッセージを伝え、候補者に安心感を与えます。
タイムラグを考慮し、クリアなコミュニケーションを意識する
オンラインでは、音声にわずかな遅延が生じることがあります。相手の話が終わるのを少し待ってから話し始める、質問と質問の間を少し空けるなど、「間」を意識することが大切です。また、早口にならないよう、いつもより少しゆっくり、はっきりと話すことで、聞き間違いやコミュニケーションの齟齬を防ぐことができます。
まとめ:優れた面接官が採用成功と企業の未来を創る
今回は、採用を成功に導くための面接官の心得について、役割の理解から具体的な質問例、避けるべきNG行動まで幅広く解説しました。面接官は、単なる評価者ではなく、企業の魅力を伝える広報担当であり、会社のブランドを体現する「顔」でもあります。この役割を深く自覚し、候補者一人ひとりに敬意を持って誠実に向き合う姿勢こそが、優れた面接官の第一歩です。あなたの面接が、候補者にとって素晴らしい体験となり、会社の未来を創る優秀な人材との出会いにつながることを心から願っています。この記事で学んだことを一つでも実践し、ぜひ最高の採用を実現してください。
この記事を担当した人
PeopleX コンテンツグループ
人事・労務・採用・人材開発・評価・エンプロイーサクセス等についての用語をわかりやすく解説いたします。
これまでに出版レーベル「PeopleX Book」の立ち上げ、書籍『エンプロイーサクセス 社員が成功するための7つの指針』の企画・編集、PeopleX発信のホワイトペーパーの企画・編集などを担当しました。
- 株式会社PeopleXについて
- エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の開発・運営をはじめとした、新しい時代に適合したHR事業を幅広く展開する総合HRカンパニーです。
