2025.07.17
AI面接対策|質問内容の特徴やおさえておくべきポイント

近年、採用活動においてもAI技術の活用が進んでおり、AI面接を導入する企業が増えつつあります。「AI面接と通常の面接との違いがわからない」「どのように面接が進むのか想像できず、不安」とお悩みかもしれません。
面接で高い評価を得るためには、事前準備が大切です。この記事では、AI面接の特徴や対策、回答のポイントをわかりやすく解説します。
AI面接とは?代表的な2つの種類
AI面接とは、人間ではなくAI(人工知能)を活用して応募者を面接し、評価する方法のことです。応募者はオンライン上でAIからの質問に回答し、回答内容や表情、声のトーンなどをAIが分析して評価します。
2010年代後半から導入する企業が増えた方法であり、コロナ禍におけるリモート面接を機に導入する企業がさらに増えました。
AI面接は、以下の2種類に分類されます。
- 対話型
- 録画型
それぞれの特徴を詳しく解説します。
対話型
対話型のAI面接では、応募者はリアルタイムにAIと面接を行います。24時間365日対応可能なため、応募者が自分の都合に合わせて好きなタイミングで面接を受けられることが特徴です。
AI面接は面接官との対面による面接と比較して機械的なイメージがあるかもしれませんが、対人間のように回答内容を深掘りする質問を投げかけることがあります。また、回答時間に制限が設けられているケースもあります。
面接中はカメラによって応募者の表情や視線の動きをチェックしており、評価の対象となるため、立ち居振る舞いや表情にも気を配らなければなりません。面接終了後は、回答内容をもとにAIが応募者の資質を分析します。
録画型
録画型のAI面接は、応募者が自分自身で録画した動画をAIに提出する方法です。
対話型と異なる点は、質問内容が事前に設定されているため、回答内容を深掘りするような質問が少ないところです。サービスによっては、応募者が事前に練習問題にチャレンジすることができます。
面接後は、AIが録画内容をもとに回答内容や表情、声のトーンなどを総合的に分析します。
対話型のAI面接における質問の傾向
対話型のAI面接ではリアルタイムにAIから質問を投げかけられるため、あらかじめ傾向を把握し、対策しておくことが大切です。
対話型AI面接の質問の傾向は、以下のとおりです。
- 過去の経験を問われる
- 回答を深掘りされる
それぞれ詳しく解説します。
過去の経験を問われる
対話型のAI面接では、応募者の興味関心や物事への向き合い方から総合的な人柄を判断するため、過去の経験を問う質問が多い傾向があります。
一般的に面接では、学生時代に力を入れたことや自己PRなどに代表される「自分の過去に関する質問」と、将来のビジョンなどの「未来に関する質問」があります。対話型のAI面接を受けるにあたっては、通常の面接同様に自分の過去の経験を洗い出し、自分自身について理解を深めておくことが大切です。
学生時代には、学業・アルバイト・部活動など、さまざまなことを経験しているでしょう。成功体験や失敗した経験を掘り起こし、どのような学びにつながったのか回答できるようにしておくことが大切です。
回答を深掘りされる
リアルタイムに応募者の発言内容や状況を分析する対話型のAI面接では、回答内容を深掘りする質問が多い傾向にあります。
「深掘り」とは、応募者の回答に対して「なぜそう感じたのか」「なぜそのような行動を選択したのか」と、話を深く掘り下げていく質問方法のことです。
面接時に回答内容を深掘りする目的は、応募者の「特性」を見るためです。特性とは、協調性や行動力、忍耐力など、長年の経験や行動によって培われた行動の傾向を指します。
質問に対する回答を深掘りすることによって、「困難な状況に直面した際にどのように行動するのか」「どのような軸で自分の未来を選択してきたのか」といった特性を把握しようとしているのです。それぞれの回答に対して、背景や理由を論理的に説明できるように準備しておくことが大切です。
AI面接に向けた対策
AI面接を受ける際は、AI面接の特徴を把握したうえで、十分な対策をして臨むことが大切です。対策すべきポイントとして、以下の4つが挙げられます。
- 質問を想定する
- 過去の経験を深掘りする
- 面接アプリで練習する
- 服装や表情に気を配る
それぞれのポイントを詳しく解説します。
AIの質問を想定する
AI面接は、過去の経験や当時の状況について具体的な内容を尋ねる質問が多い特徴があるため、事前に話す内容を準備しておくことが有効です。
たとえば「困難を乗り越えた経験」に関する質問には、応募者の課題解決能力や忍耐力を図る目的があります。質問の意図を的確に捉え、具体的なエピソードを添えながらわかりやすく説明しましょう。
なかには、「人助けの経験」や「周囲と意見が合わない場合の対応方法」など、すぐには回答が思いつかないような質問をされる場合もあります。どのような角度からの質問にも対応できるような準備が必要です。
過去の経験を深掘りする
AI面接では過去の経験を深掘りする質問が多いため、自分の過去を振り返り、考えを整理しておきましょう。さまざまな経験を視覚的に把握し理解を深めるためには、ロジックツリーの活用が効果的です。
ロジックツリーとは、問題の分析や要因の特定、業務改善、自己分析など、さまざまなシーンで活用できるフレームワークのことです。ロジックツリーを用いることで、面接でアピールしたい内容を論理的に説明できるようになります。
ロジックツリーは原因の分析だけでなく、解決策まで見出せることが特徴です。たとえば自分の短所について話す場合、短所の克服方法についても論理的に説明できるようになるため、訴求力が増すでしょう。
ほかにも、具体的なエピソードを論理的かつ効果的に伝えるためのフレームワークとして、STAR法があります。STAR法とは、「Situation(状況)」「Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」から構成される回答のフレームワークです。STAR法の枠組みに沿ってエピソードを話すことで、物事を論理立ててわかりやすく伝えることができます。
面接アプリで練習する
実践に近い形式で練習したい場合は、面接アプリの活用が効果的です。面接アプリとは、AI面接で質問される可能性の高い質問を練習したり、高評価を得るためのポイントを教えてくれたりするアプリのことです。
面接対策は、自力のみでは限界があります。第三者に客観的な視点で回答内容を評価してもらい、改善を重ねることで内容に磨きがかかります。
面接アプリを使用することで、自分では気づかなかった改善点が見つかるかもしれません。特にAIを搭載した面接アプリは、回答の際の表情や言葉づかい、声のトーンなどを分析し、具体的なフィードバックを得ることが可能です。
スマートフォンやタブレットなど、身近なデバイスからアクセスして利用できる点も大きな利点といえるでしょう。
服装や表情に気を配る
AI面接の場合も対面による面接と同じように、服装や表情に気を配る必要があります。
AI面接は応募者の都合の良いタイミングで受けられるため、好きな時間に自由な服装で受けたくなるかもしれませんが、企業の面接であることに変わりはありません。清潔感のある身だしなみを心がけ、服装はスーツが基本です。
面接の評価対象は、回答内容だけではありません。言葉遣いやコミュニケーションスキル、表情やジェスチャーなども評価されるため、意識して臨みましょう。
AIは、応募者が回答する際の表情や視線、手の動きなどから相手の状態を推測し、判断することが可能です。目の前に面接官がいる場合と同じように、自然な表情で適切な身振り手振りを交えながら話すことが高評価につながります。
AI面接の質問に対する回答のポイント
面接で高い評価を得るためには、対面による面接と同じように、以下のような点に留意して面接に臨むことが大切です。AI面接ならではの特徴を理解しておく必要があります。回答のポイントは、以下のとおりです。
- 結論ファーストで簡潔に答える
- 回答に数字を盛り込む
- 落ち着いてはっきりと話す
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
結論ファーストで簡潔に答える
AI面接では、結論ファーストで要点を絞って答えることが大切です。
たとえば、「学生時代に力を入れてきたこと」を聞かれた場合、まずは力を入れて取り組んできたことの概要を端的に伝えます。回答内容を深掘りする質問をされたら、詳細を話すようにしましょう。
最初の回答では、「課題に対してどのように取り組んだか」「取り組んだ結果、どのような変化があったか」など細かい説明は不要です。詳細な説明が長すぎると、最もアピールすべき点が伝わらない恐れがあります。対面による面接の場合は、最初の回答で補足的な情報を述べることがあるかもしれません。AI面接では、「質問されたことに対してのみ簡潔に回答すること」がポイントです。
回答に数字を盛り込む
対面による面接と同様に、回答に具体的な数字を盛り込むと説得力がアップします。特にAIは、客観的な指標となる数字や事例を交えて説明するようにしましょう。認識して評価する仕組みがあるため、効果的です。
たとえば、アルバイトで売上アップに貢献した経験をアピールしたい場合、「SNSを活用して新商品をアピールする方法を提案し、実行した結果、前年同月比で来店客が20%増加し、売上15%アップを達成した」などと伝えると、実績をわかりやすくアピールできます。
「がんばりました」「努力を重ねました」といった主観的な表現ではなく、客観的な事実を述べ、そこから自分の努力をアピールすることが大切です。
落ち着いてはっきりと話す
AI面接では、対面による面接同様に話すスピードや声のトーンに気を配ることが大切です。
回答内容が優れていても、正しく認識してもらえなければ高い評価にはつながりません。対面による面接の場合と同じように、相手に正しく内容を伝えるためには、普段の会話よりもは、面接官が聞き取れなければ聞き直してもらえることがあるでしょう。しかし、AI面接では聞き直してもらえないため、普段以上に落ち着いてはっきり話すことが意識が必要です。
まとめ
AI面接は過去の経験に関することや、回答内容に対して深掘りする質問が多い特徴があります。傾向を把握したうえで、しっかり対策して臨むことが大切です。評価の対象となるのは回答内容だけではなく、言葉遣いや表情、声のトーンなども含まれます。
面接は、自分の将来が決まる大切な場です。面接の練習をして自分を客観的に見つめる機会をつくり、本番で最大限の力が発揮できるようにしましょう。

この記事を担当した人
PeopleX コンテンツグループ
人事・労務・採用・人材開発・評価・エンプロイーサクセス等についての用語をわかりやすく解説いたします。
これまでに出版レーベル「PeopleX Book」の立ち上げ、書籍『エンプロイーサクセス 社員が成功するための7つの指針』の企画・編集、PeopleX発信のホワイトペーパーの企画・編集などを担当しました。
- 株式会社PeopleXについて
- エンプロイーサクセスHRプラットフォーム「PeopleWork」の開発・運営をはじめとした、新しい時代に適合したHR事業を幅広く展開する総合HRカンパニーです。