株式会社エリメントHRCは、「Enrich One’s mind/人の心を豊かに」をミッションに掲げ、ヘルスケア・IT・製造領域に特化した人材紹介・コンサルティングを展開する企業である。同社が大切にしているのは、単なる求人要件と経歴の照合ではない。候補者の「意向」と「性質」、そして転職先における「働き方」の間に論理の橋を架ける、独自の「エリメント流コンサルティング術」である。面談は求人紹介の前段階ではなく、候補者と企業双方にとって最適な選択肢を見極めるための中核プロセス。一方、IT/製造事業部では事業拡大に伴って新人比率が高まり、面談品質をいかに保ちながら育成を仕組み化するかが課題となっていた。
本記事では、「PeopleX AIロープレ」を導入し、「エリメント流」の伝承と育成効率化を進める同社の取り組みについて、採用コンサルティング事業部の若林様と、マーケ&リサーチ事業部の佐藤様に話を伺った。
担当者の職務
IT/製造領域の事業拡大と、候補者集客・面談品質の設計を担う
── はじめに、貴社の事業概要について教えてください。
若林様:当社は、もともと医療領域に特化したサーチファーム、ヘッドハンティングの会社としてスタートしました。創業から20周年を迎え、現在はヘルスケアに加えて、IT/製造領域にも事業を広げています。大きくは、医療領域に特化したメディカル事業部と、IT/製造事業部の2つを軸に、人材紹介サービスを展開しています。
── その中で、若林様と佐藤様はどのような業務を担当されているのでしょうか?
若林様:私は採用コンサルティング事業部のゼネラルマネージャーとして、15名のメンバーを見ています。候補者の集客からクライアント対応、商談、そしてCA(キャリアアドバイザー)の面談品質の管理・育成までが主な役割です。単に人材をご紹介するだけではなく、クライアントの採用課題と候補者の意向を正しく捉え、双方にとって納得感のある選択肢をつくることを重視しています。
佐藤様:私はマーケティングマネージャーとして6名のマネジメントをしながら、主に候補者集客および広報関連を担当しています。自社のオウンドメディア運用や、候補者の方との面談が中心です。誰に、どの求人を、どのような言葉で届けるべきかを日々検証しながら、集客の入口から面談までを一気通貫で見ています。

導入の背景と課題
急成長するIT/製造事業部で、「エリメント流」をどう伝承するか
── 今回、「AIロープレ」を導入いただきました。もともと、対人でのロープレは実施されていたのでしょうか。
若林様:はい。新人育成のプロセスの中で、ロープレは以前から実施していました。OJTの一環として、先輩や上長とロープレを重ね、実際の面談にも同席しながらスキルを身につけていく流れです。特に候補者との面談品質は、当社が最も大切にしている部分です。候補者の言葉の表面だけではなく、その背景にある感情、意思決定の理由、言語化されていない違和感まで拾いにいく面談を徹底しています。オープン/クローズド質問の使い分け、自己開示、共通点を起点にしたラポール形成などを取り入れ、一問一答の確認作業にならないようにしています。
── 研修は具体的にどれくらいの期間で行われるのですか。
若林様:まず約2週間の座学研修があります。その後、集客に関するOJT、候補者面談の同席・同行へ進みますので、トータルでは2ヶ月程度です。前半はCAの面談ロープレが中心で、RA(リクルーティングアドバイザー)の研修は後半で実施しています。
── ロープレには、決まった「型」のようなものがあるのでしょうか。
若林様:あります。当社独自の「エリメント流コンサルティング術」と呼んでいる面談の型があり、まずはその型に沿って実践できているかを確認します。候補者の方の属性や経験によって質問や提案は当然変わりますが、面談全体を貫く一本筋の通った型があります。それが、候補者の「意向」と「性質」、そして求人先での働き方を論理的につなぐという考え方です。
── 長年確立されてきた型がある中で、どのような課題を感じていたのでしょうか。
若林様:当社は長く医療・メディカル領域に特化して成長してきたため、その領域では「型」の伝承がかなり濃くできていました。一方で、後発で立ち上がったIT/製造事業部は、これから事業を伸ばしていくフェーズです。エリメント流を高い水準で実践できるメンバーを増やしていく必要がある中で、新人比率も高く、育成やロープレが後手に回ってしまう場面がありました。
佐藤様:一番大きかったのは、やはり工数の問題です。新人教育には時間がかかりますが、教える側も自身の営業数字を持っており、クライアント対応を行っています。昨年は新人が12名、今年も現時点で10名の入社が決まっており、育成対象が増えるほど、教育担当者側の負荷も大きくなっていました。
若林様:ロープレをしっかりやると、実際の面談と同じように1時間程度かかります。その間、先輩やマネジメント層のスケジュールは完全にロックされます。対応できるメンバーも限られるため、特定の社員に育成負荷が集中してしまう。これは、事業を伸ばしていく上で解決すべき課題だと感じていました。
導入の決め手
AIに任せることで、練習量とフィードバックの再現性を高められると判断
── AIロープレというサービスを知ったきっかけを教えてください。
佐藤様:2025年の年末頃に、御社の担当者である長嶋さんをLinkedInでお見かけし、ユニークな経歴に興味を持ったのがきっかけです。そこから「AIロープレ」というサービスを知りました。
ちょうどその頃、事業部内でも「新人が多く、ロープレ対応の時間が足りない」という課題が出ていました。AIロープレを導入できれば、教育にかかる時間を軽減しながら、練習機会も増やせるのではないかと考え、社長に提案して話を進めました。
── 若林様は最初、「AIとロープレする」と聞いたとき、どのように感じましたか?
若林様:正直に言えば、最初は懐疑的でした。当社には面談における独自の型があり、その中心には「意向」と「性質」という考え方があります。単に質問項目をなぞるのではなく、候補者の言葉の背景を捉え、働き方との間に論理の橋を架けていく必要があります。それをAIがどこまで理解し、どの定義に沿って評価できるのかは、最初は想像がつきませんでした。
── 他社サービスとの比較もされたのでしょうか。導入を決断された決め手は何でしたか?
佐藤様:いくつか比較検討は行いました。最終的な決め手は、時間を選ばず常時利用できることです。人が見るべき部分は人が見る。一方で、反復練習や一次的なフィードバックはAIに任せる。その切り分けができれば、育成の質を落とさずに練習量を増やせると考えました。

導入後の効果、組織内での反応
責任者の視点に近いフィードバックが得られ、育成工数の削減にも寄与
── AIロープレについて、導入後の現場の反応はいかがですか。
若林様:「思っていた以上に良い」という声が多く、現場の反応は良好です。私が懸念していた感情面や深掘りの観点についても、社内で普段指摘している内容に近いフィードバックが出てきます。実際に、面談で感情の読み取りや背景の掘り下げが苦手な傾向にあるメンバーが実施したところ、私が指摘する内容にかなり近いフィードバックが返ってきました。
当社の面談では、候補者の発する表層的な内容ではなく、その根っこにある『本質的な背景や理由』をとらえることが重要であるとしています。また、機械的に質問を消化するのではなく、候補者の意思決定の構造を理解することが大切です。AIロープレは、その観点を身につけるための練習機会を増やす仕組みとして、面談品質の底上げに寄与していると感じます。
── そのほかに、AIロープレを導入してよかったと感じている部分はありますか。
若林様:工数削減の効果も大きいです。これまでマネジメント層が複数人で長時間かけて確認していた部分の一部を、AIに任せられるようになりました。必要な箇所だけ動画を確認する運用にすれば、移動中などの短い時間でも確認できます。人が介在すべき本質的な部分に、より時間を使えるようになったことは大きいですね。
今後の活用方針やサービスに期待すること
キャリア面談から企業との商談、新人の卒業試験、ロープレ大会の予選へ。活用範囲を広げる
── 今後のサービス活用方針を教えてください。
若林様:現状はキャリア面談のロープレが中心ですが、今後は法人向け商談ロープレにも展開したいと考えています。企業の採用課題をどう捉え、どのような候補者提案につなげるかは、当社のコンサルティング品質を左右する重要な要素です。
また、当社には「新人の卒業試験」という独り立ちのためのテストがあります。仮想の候補者の設定に基づき、ヒアリングから企業の求人紹介までを行い、応募承諾をとれるか一連の流れと面談の品質を評価するものです。この卒業試験をAIのテスト機能で支援できれば、評価の一次判定や育成ポイントの可視化に有効だと考えています。
さらに、人材紹介会社数社で運営しているロープレ大会の社内予選にも、AIロープレを活用したいです。これまではマネジメント層が5〜6時間かけて採点していましたが、AIで一次採点や合否判定を行い、気になる箇所だけ動画で確認する運用にできれば、大幅な時間短縮につながります。
── 最後に、AIロープレというサービスに期待することをお聞かせください。
若林様:現時点でも問題なく活用できています。一方で、温度感や抑揚、応答の「間」など、人間同士の会話との差を感じる部分はまだあります。こうしたレスポンス設計や、評価観点のプリセット機能がさらに強化されると、より実践に近い育成環境になると思います。技術の進化によって、今後さらに良くなっていくことを期待しています。
── 貴重なお話をありがとうございました。今後の開発の参考にさせていただきます。

導入の背景
「日程が合わない」だけで応募を逃していた。多忙な専門職に立ちはだかる選考の壁
「日本にベビーシッターの文化を」。そんなビジョンを掲げ、24時間スマホで呼べるシッターサービスを展開する株式会社キッズライン。全国で250万件以上の依頼実績を誇る同社ですが、サービスの担い手である「サポーター(シッター)」の採用プロセスには、構造的な課題がありました。
同社でサポーター採用を担当するご担当者様は、当時の状況をこう振り返ります。

平島氏:「現役の保育士さんや看護師さんは日中フルタイムで働いている方が多く、参加できるのがどうしても土日に限られてしまいます。しかし、土日の登録会も月に2、3回しか開催できず、すぐに枠が埋まってしまう。今月は満席なので来月となると、モチベーションが下がって応募自体を諦めてしまう方もいらっしゃいました。」
人気の高い登録会はすぐに満席になり、次の開催まで1ヶ月待たなければならないことも。「ベビーシッター採用のリードタイムは自治体への届出も含めて、1ヶ月から2ヶ月ほどかかってしまう」という状況下で、日程調整のハードルによる機会損失を防ぐことは急務でした。
導入の決め手
「これなら話せる」と確信させた、AIアバターの人間味ある対話力
課題解決の手段として「AI面接」の導入検討を始めた同社。しかし、対人スキルが何より重要な保育職の採用において、「AI面接」という言葉が応募者のハードルになるのではないかという懸念もありました。
3社ほど比較検討を行う中で、その懸念を払拭し、導入の決め手となったのはPeopleXのAIアバターの圧倒的な質の高さでした。

平島氏:「他社さんのサービスでは、画面上にアバターがいても『質問に対して回答する様子を録画しているだけ』という無機質な感覚が拭えませんでした。でも、御社のサービスは違いました。瞬きや頷きが自然に入り、本当に会話しているような感覚があったんです。『これなら話せる』と確信しました」
人柄やコミュニケーション力を重視する同社にとって、応募者が違和感なく話せることは必須条件でした。
平島氏: 「ベビーシッターはお子様や保護者様に寄り添う姿勢が非常に重要なので、面接でも本来そういった安心して話せる心のこもった会話を感じていただくべきだと考えています。それがAI面接という形であっても、一番私たちの思いを体現できるのが御社のサービスだったんです」
無機質な録画ではなく、人間味のある「対話」ができる点こそが、同社の求める採用体験と合致したのです。
導入後の効果
選考リードタイムを1ヶ月短縮。「待たせない選考」がもたらした成果
導入は慎重に進められた。まずはZoom説明会中にAI面接を受けてもらうハイブリッド形式からスタートし、運用を確認した上で、応募者が好きな時間に受検できる「24時間選考」へと移行した。効果はすぐに数字として表れた。
平島氏:「これまで1ヶ月先の登録会を予約していた方が、AI面接導入後はその場ですぐに一次選考に進むことができるようになりました。応募から一次選考までのリードタイムが単純計算で1ヶ月短縮されています」。
日程調整の必要がなくなり、応募者の熱量が高いうちに選考を進められるようになったことで、機会損失も減少。Webサイト上に「24時間いつでも選考可能」という導線を設置したところ、週末だけで30件以上の予約が入るなど、多くの応募者がAI面接を選択しています。
また、懸念していた受検者の反応もポジティブでした。
平島氏:「動画を確認すると、最初は緊張していても、AI面接官が相槌を打ってくれるおかげで、後半になると表情が柔らかくなっている方が多いんです。『意外と話しやすかった』という声もいただいています」
システム操作に不安を感じる方でも問題なく受検できており、AI面接はむしろ、応募者の心理的な負担を下げ、本来の魅力を引き出すことに貢献しています。
今後の展望
評価データの蓄積で「自社らしい採用基準」を確立したい
今後は、蓄積されたデータを活用し、採用精度のさらなる向上を目指しています。
「総合評価スコアが70点以上の人は、実際の印象も安定している」といった傾向も見え始めており、今後はこのデータを分析して「キッズラインで活躍できる人物像」の基準を明確にしていく予定です。
また、この成功モデルを、家事代行サービス(家事代行サポーター)の採用など、他の領域にも展開していくことを視野に入れています。
平島氏: 「保育業界はまだアナログな部分が多いですが、弊社ではテクノロジー活用を積極的に進めています。今回のAI面接導入も、単なる効率化ではありません。『テクノロジーで新しい価値を生み出す』という当社の姿勢を体現する事例として、これからも発信していきたいと考えています」
人の温かみとテクノロジーの利便性。その両立に挑むキッズラインの取り組みは、保育業界の新しいスタンダードを作っていく。
