マリモホールディングスは、不動産事業を中心に複数事業を手がける株式会社マリモをはじめとした企業グループの経営管理・新規事業推進を行う持株会社です。
本インタビューの前半は「PeopleX AI面接・AIロープレ」の導入を推進した人事部の高部様に、サービス導入の背景を伺いました。後半では、マンション販売の営業担当の胤森様と伊藤様に、営業活動における課題感とAIロープレの活用実態について伺いました。

導入の背景
── 2026年は貴社にとっての転換期と伺ったのですが、詳細を教えていただけますか?
高部様(人事部):マリモホールディングスでは、2026年度を「人づくり元年」と位置づけ、事業成長を支える人材基盤の強化に取り組んでいます。その中で重視しているのが、「自助」と「共助」を前提とした人材育成の仕組みづくりです。個人の主体的な学習や挑戦(自助)を促しながら、それを組織として継続的に支え、育てていく仕組み(共助)をどう構築するか。この両立が、グループ全体の持続的成長に不可欠だと考えています。
── 人材育成において大切にされていることは何ですか?
高部様(人事部):マリモグループが目指しているのは、心理的安全性を基盤としつつ、学習と成長に向き合う「適度な緊張感」を維持できる組織です。私たちは、単に負荷を下げることや配慮を重ねることが「人を大切にすること」だとは捉えていません。期待を明確にし、成長に向き合い続ける環境を用意することこそが重要だと考えています。
── 素晴らしい姿勢ですね。その一環としてAI面接・AIロープレを導入されたのですね。
高部様(人事部):はい。今回のAI面接・AIロープレの導入は、採用や育成を効率化するためだけの施策ではなく、社員一人ひとりが主体的に学び、挑戦し続けられる共通基盤を整える取り組みです。今後もテクノロジーを活用しながら、個人の自律性と組織の育成力が両立する人づくりを進めていきます。
営業における課題感

── お二人の職務内容を教えていただけますか。
伊藤様: マンション売買の営業担当をしております。新卒で入社し、この4月から4年目に入ります。
胤森様:私はマリモで開発した新築マンションの販売をしています。元々はマリモに入ってからしばらくは事務職に従事していましたが、入社20年目を機に社内の「殻を破れプロジェクト」を利用して営業に転籍し、現在営業職としては5年目になります。
── 普段の営業活動で難しいと感じる点はどこでしょうか?
胤森様:お客様の「本音」を伺うことですね。数千万円という大きな買い物ですから、お客様は「買わされるんじゃないか」とガードを固めて来られます。そのガードを解き、話しやすい環境を作って本音をお話しいただく関係づくりに力を入れていますが、そこが非常に難しいと感じています。
── 関係づくりのために、どのような工夫をされていますか?
胤森様:些細なことですが、まずは天気の話など、自然な会話でのアイスブレイクを心がけています。お客様の不安な気持ちを解きほぐし、ガードを外していただくことを常に意識していますね。
── 伊藤様:はいかがでしょうか?
伊藤様:お客様のニーズを整理することが一番難しいと感じます。価格は安く、間取りは広く、利便性も良い、といったように、お客様はより良い条件を希望されますが、条件に100%合う物件はなかなかありません。条件に優先順位をつける必要があるのですが、場合によってはお客様とは違った「視点」をお伝えすることで、条件を変えていただいたり折り合いをつけていただくこともございます。
「PeopleX AIロープレ」を使ってみた感想
── AIロープレを使ってみて、率直な感想はいかがでしたか?
伊藤様:私はとても有意義に活用できています。対人でのロープレとは違う観点で質問が来るので、自分の知識不足やトークの引き出し不足に気づけたりします。そこで改めてインプットし直して再度ロープレにチャレンジするという、良いフローが組めています。
── AIロープレでご自身の知識不足や苦手なトークがわかると。
伊藤様:はい、その通りです。あとは自分の話し方や営業スタイルを客観視できるので、その点も学びになっています。
── AIロープレの評価についてはどう思われますか?
胤森様:初回の評点はそれほど高くなく、AIからは「具体的に言えていなかった」「結論を先に言いすぎている」といった少々辛口のフィードバックもありました。普段自分では意識しているつもりでもできていなかったことが客観的にフィードバックされる点は、非常に良かったです。私は負けず嫌いなので、ロープレで早くA判定を取りたいという気持ちになって、自然と練習が進みました(笑)。応酬話法の練習にもなり、役立つツールだなという印象です。
── 高い点数を取りたいという気持ちは、新人の方にも良い影響がありそうですね。
胤森様:そうですね。ロープレは事前にシナリオ設定しますし、AI相手ですので「こう答えたら100点なんだろうな」という準備ができると高を括っていたのですが、たとえ相手がAIであっても、会話の流れの中で実践できなければ意味がありません。どういう間で、どういう表情で話せばよいかという練習にもなるので、とても良いと思いました。

今後サービスに期待すること
── 今後、AIロープレにどのような機能があるとよいと思いますか?
伊藤様: 提案に必要な資料を読み込ませて、資料の内容に沿って提案をするロープレをしたいです。実際の接客時は、地図などを指し示しながらご案内するので、そういった資料を使いながらきちんと話せているか、という部分を練習・強化したいですね。
── 資料を活用したトークの練習ですね。胤森様はいかがですか?
胤森様:これはAIで実現できるのかわかりませんが、「顔の表情」「声のトーン」に人間のような変化があるといいなと思います。普段の営業活動でお客様から3つほど要望を提示された場合に、お客様がその中でどれを一番気にされているのかは表情やトーンでキャッチすることが多いように感じています。もちろん質問を重ねることで探っていくなどの方法もありますが、人間により近い心の機微について今後さらに改善されたらすごいなと期待しています。
── 貴重なご意見をありがとうございました。

導入の背景
応募者の半数が離脱。少人数体制の採用活動に限界
千葉県浦安市を中心に、東京・神奈川で駅前小型店を展開する食品スーパーマーケット、株式会社ワイズマート。同社では、人事部という専門部署を設けず、総務部内の数名が採用を兼任している。特に中途採用は、担当者1名が応募から面接までを担っており、その業務負荷が大きな課題となっていた。
小町氏:「応募があっても、面接に至るまでのタイムラグが非常に長く、そこで離脱される方が多いのが悩みでした。書類選考の案内をしても、実際に書類を送ってきてくださるのは半分いるかいないか。採用担当が私一人という状況で、候補者一人ひとりとのやり取りに時間がかかり、スピード感のある選考ができていませんでした。」
候補者とのメールのやり取りは、希望部門の確認や最寄り駅のヒアリングなど、一人あたり4〜5回に及ぶこともあった。この煩雑なプロセスが、候補者の応募意欲を削ぎ、貴重な出会いの機会を失う原因となっていた。

導入の決め手
「一目惚れだった」。コストと時間の両面で感じた圧倒的な魅力
課題解決の糸口を探していた小町氏は、展示会でAI面接サービスの存在を知る。その後、偶然にも営業担当から連絡があり、話を聞くことに。
小町氏:「他のサービスとは比較検討しませんでした。お話を伺って『これだ』と一目惚れしてしまったんです。一番の魅力は、時間に対するコストパフォーマンスでした。候補者の離脱を防ぎ、なおかつ自分たちの工数を削減できる。これ以上ないソリューションだと感じました。」
最終的な面接は1回のみという同社の選考フローにおいて、AI面接は一次面接の代替として十分に機能するのではないか。そんな期待を込めて、まずは中途採用の領域で試験的な導入がスタートした。
導入後の効果
面接実施率100%!リードタイムを約1週間短縮し、「革命的な応募フロー」を実現
同社は、応募があった候補者に対し、書類の提出を依頼する前にAI面接を案内するフローを構築。その効果は、すぐに数字となって表れた。
小町氏:「導入初月、案内した方全員がAI面接を受けてくれたんです。実施率は100%。今まで書類の段階で半分以上が離脱していたことを考えると、これは革命的な応募フローだと感じました。候補者一人あたりにかかっていた時間も、1週間弱は短縮できています。」
これまでメールで何度も確認していた内容は、AI面接内でヒアリングが完結。候補者との煩雑なやり取りは1〜2回で済むようになり、採用担当者は本来注力すべき業務に集中できるようになった。
また、事前にAI面接の動画で候補者の人柄や雰囲気を把握できるため、対面の最終面接もよりスムーズに進むようになったという。

小町氏:「映像で動きや表情がわかっているので、心構えをしたうえで面接に臨めます。これは面接する側にとっても、精神的な余裕につながっていますね。」
実際にAI面接を経て入社が決まった方もおり、採用の質・量ともに確かな手応えを感じている。
今後の展望
社内面談からアルバイト採用まで。AIの活用範囲はさらに広がる
試験導入での成功を受け、同社はAI面接の本格導入を決定。今後は、中途採用だけでなく新卒採用にも活用範囲を広げていきたいと考えている。
小町氏:「将来的には、新店舗開設時のパート・アルバイトの一括募集などでも活用できるのではないかと考えています。また、採用面接だけでなく、年に2回、全従業員約550名を対象に行う人事考課面談にも応用できないかと期待しています。私が担当するだけでも200人弱いるので、この面談をAIで代替できれば、さらに多くの時間を創出できるはずです。」
ワイズマートの挑戦は、採用活動の効率化に留まらず、組織全体のコミュニケーションを変革していく可能性を秘めている。
導入の背景
DX推進大学が直面した採用業務の限界
四国の中核大学として、温かくファミリーな雰囲気と、先進的な取り組みを両立させている国立大学法人香川大学。「西の香川大学」と称されるほどDX推進に力を入れ、全国の大学からも注目を集める存在だ。
しかし、その先進的なイメージとは裏腹に、人事課では長年アナログな採用業務に多くの時間を費やしていたという。

篠原氏:「人事の仕事は、すごく昔ながらのやり方なんです。採用のときも、まず書類を集めて、それから実際に会って面接して…と、全部手作業で進めるので、とても時間がかかるんです。」
特に、年に一度の法人職員採用試験では、筆記試験を通過した受験者全員と面接を行っていた。その数は多い時で200名から300名にものぼる。
造田氏:「受験者が300人いれば、全員と面接していました。3つの部屋に分けて、各部屋に面接官が3人、1グループ5~6人のグループ面接を1週間ずっと続けていたので、本当に大変で、限界を感じていました。」
面接官だけでなく、当日の案内や誘導を行う運営スタッフも必要で、人事課全体の大きな負担となっていた。
書類では見えない「個性」。二度手間が生んだ採用の課題
採用における課題は、工数だけではなかった。特に中途採用では、書類選考の限界を感じる場面が多々あったという。

造田氏:「書類だけだと、その人の学歴や職歴くらいしか分かりません。実際に会ってみると、思っていた印象と違うことがよくあって、ギャップを感じることが多かったです。」
以前、採用活動を行った際には、書類選考を経て7〜8名と面接したものの、結果的に一人も採用に至らなかったことがあった。
造田氏:「結局全員ダメっていうような時があってですね。で、もう一度書類を全部出してきて、もう1回同じ作業をやって…。これは二度手間だなというのはずっとあったんです。」
書類の情報だけでは、応募者の人柄やポテンシャルを十分に把握できず、再公募、再選考を繰り返し実施することもあり、採用のミスマッチや非効率な業務フローの原因となっていた。
導入の決め手
決め手は、対話レベルの高さ
そんな中、AI面接を知ったのは偶然がきっかけだった。以前、担当者が情報収集のためにダウンロードしていた資料について、後任担当者のもとに一本の電話がかかってきたのだ。
話を聞き、デモ画面を見たところ、その精度に驚いたという。
造田氏:「実際にデモ画面を上司に見せたら、『ちゃんと受け答えできてるね。これなら一度試してみよう』と言ってくれて、すぐに導入を前向きに考えるようになりました。」
まずは比較的小規模な中途採用で効果を試し、その後に法人職員採用試験に導入する計画で、AI面接の活用はスタートした。
導入後の効果
採用工数40時間削減と選考の質向上を実現
AI面接導入の効果は、量的・質的の両面で顕著に表れている。
今年度の選考では、書類提出後、全応募者にAI面接を実施。書類とAI面接の結果を合わせて第一次選考を行った。これにより、従来と比べて全体で約40時間もの工数削減を達成した。
工数削減だけでなく、選考の質も向上した。これまでの第一次面接は面接官2名で実施していたが、AI面接では人事担当者4名で同時に録画データを確認し、多角的な視点から意見交換をしながら合否を判断できるようになった。
さらに、AI面接は新たな人材発掘にも貢献している。

宮崎氏:「これまでであれば書類選考で不合格としていた応募者でも、AI面接を通じて人柄の良さを確認できたことで、次の選考へ進んだというケースがありました。良い人材との出会いに繋がった好例です。」
これは、AI面接が応募者の潜在能力やコミュニケーション能力といった、書類だけでは計れない側面を可視化した成果と言えるだろう。
また、AIが各回答を要約する機能も高く評価されている。要約は的確にまとめられており、対面実施の第二次選考の参考資料としても有効活用されている。
また、応募者側のメリットも大きい。
造田氏:「応募者の中には遠方から来られる方もいますので、2回、3回とお呼びするというところで、経済的負担がかなり軽くなったというところもメリットかなと思っています。」
AI面接の導入は、採用の効率化だけでなく、質の向上と、応募者に寄り添う採用活動の実現にも繋がった。
今後の展望
事務採用から全学展開へ、AI面接活用の未来
香川大学では、今回の成功を受け、今後のさらなる活用に期待を寄せている。
造田氏:「まずは事務職員の採用から始めて、常勤職員も非常勤職員も含めて、今後は大学全体でAI面接を使っていけそうだと感じています。小さな面接でもAI面接を取り入れることで、採用しやすくなると思うので、全学的に広げていきたいです。」
さらに、事務職員だけでなく、障害がい者採用や、附属病院職員の採用など、学内の様々な場面での活用も視野に入れている。
大学運営全体の効率化と質向上に貢献するツールとして、AIの活用はまだ始まったばかりだ。香川大学の先進的な挑戦は、これからも続いていく。
