エン株式会社の広告営業の育成部門では、知識をインプットする研修は実施していたものの、実践的なトレーニングの機会が不足している点に課題を抱え、AIロープレの導入を検討。「PeopleX AIロープレ」導入後、約3ヶ月で商品の提案件数や架電数が増加する効果が表れ始めている。中途採用 求人広告・DR事業部 企画部 グループマネージャーの鍋倉様に、AIロープレ導入前の課題や導入後の変化を伺った。
担当者の職務
人材サービスの最前線を支える「現場で実践できる営業」を育成
──はじめに、鍋倉様の業務内容を教えてください。
鍋倉様:当社は幅広く人材サービス業を展開していますが、そのなかでも私は「エン転職」「ミドルの転職」「AMBI」といった転職サイトやスカウト転職サービスを扱う事業部に所属しています。営業を経験した後に2024年から現在の部署に異動し、私を含む7名体制で営業の育成を担当しています。
──具体的にどういった取り組みをされているのでしょうか。
鍋倉様:新卒1年目向けの研修やマネジメント階層別の研修のほか、全営業担当者向けに体系化した研修などを実施しています。
当社では「知っている」「わかる」「できる」「教えられる」という4段階の認定制度を設けており、私たちは、座学研修や動画コンテンツの提供を通じて「わかる」状態に引き上げ、実践的な試験等を通じて「できる」状態になっているかを確認する役割を担っています。
AIロープレ 導入の背景と課題
「わかる」から「できる」への高い壁。現場任せになりがちだった実践トレーニング
──AIロープレの導入前から、日常的にロープレは実施されていたのでしょうか。
鍋倉様:日常的な実施という点では、十分にはできていませんでした。私たち営業育成部門では、主にインプット研修や、「できる」状態になっていることを確認する認定試験としてのロープレを行っていましたが、そこに至る日常的な練習については現場や各自に任せていたからです。
しかし、現場もリソースが逼迫しており、ロープレ練習まで十分に手が回らないのが実情でした。
──「わかる」から「できる」になるまでのアウトプット型の研修がなかなかできない状況だったということでしょうか。
鍋倉様:はい。結局のところ、本当に営業が「できる」ようになるためには、顧客との商談経験を積み重ねるしかありません。しかし、経験の浅い若手がいきなり商談現場に出るのはハードルが高いものです。
そのため、現場に出る前にロープレ練習を実施したいのですが、社内での提供はリソース上難しかったため、AIロープレサービスを検討することにしました。複数比較検討したなかで、シンプルでわかりやすいこと、直感的に使いやすいことが決め手となり、「PeopleX AIロープレ」を導入しました。

導入後の効果
練習した商品の提案件数が約2倍に。若手の行動量が明らかに増加した
──実際にAIロープレを導入してみて、営業の方々からの反応や効果についてはいかがでしょうか。
鍋倉様:現在は主に1年目の求人広告営業を対象にAIロープレを活用しています。彼らからは「研修で知識をインプットした後、すぐにAIロープレでアウトプットできるのが良い」という声が上がっています。実践を通じて、「自分がどこを理解できていて、どこでつまずいているのか」がその場ですぐに明確になる点も好評です。
まだ導入して約3ヶ月という状況ですが、数値的な効果も表れ始めています。ある商品の知識をインプットする研修とAIロープレをセットで実施したところ、実施前と比較してその商品の提案件数が約2倍に増えました。また、1年目の営業を対象に架電のロープレを実施したところ、一人あたりの架電数が昨年度と比較して10件ほど伸びています。
AIロープレで練習を重ねることで「本番でもできる」という自信につながり、心理的なハードルが下がって行動量が増え、結果に繋がっているのだと考えています。特に1年目の若手にはフィットしやすいサービスだと感じています。
また、1年目の営業のAIロープレでの評価順位と、実際に現場へ出た後の商談獲得数の順位が一致しており、AIロープレの評価の妥当性や精度の高さを改めて実感しています。
今後の期待と展望
自発的に取り組みたくなる工夫が重要。ゲーム感覚で楽しく継続できる仕組みづくりへ
──最後に、今後のAIロープレの活用方針や、AIロープレというサービスに期待することをお聞かせください。
鍋倉様:現在は行動の「量」を増やすという点で効果が出ていますが、次のテーマは「質」の向上です。また、研修期間が終わるとどうしても活用率が下がりがちになるため、自発的にAIロープレに取り組みたくなるような工夫をしていきたいと考えています。
そのためには、より現場感のあるリアルなロープレシナリオの設計や、営業担当者が楽しく継続して取り組める仕組みづくりが重要だと考えています。
現状もロープレの点数や習熟度を見ることができますが、よりゲーム感覚で取り組みたくなるような仕組みや運用ができると良いと思っています。また、ロープレのフィードバックをより簡単にカスタマイズできる機能や、個人ごとにより詳細に分析データが見られるようにしていただけると非常にありがたいです。
──貴重なご意見をありがとうございます。今後のサービス開発の参考にさせていただきます。本日はありがとうございました。
マリモホールディングスは、不動産事業を中心に複数事業を手がける株式会社マリモをはじめとした企業グループの経営管理・新規事業推進を行う持株会社です。
本インタビューの前半は「PeopleX AI面接・AIロープレ」の導入を推進した人事部の高部様に、サービス導入の背景を伺いました。後半では、マンション販売の営業担当の胤森様と伊藤様に、営業活動における課題感とAIロープレの活用実態について伺いました。

導入の背景
── 2026年は貴社にとっての転換期と伺ったのですが、詳細を教えていただけますか?
高部様(人事部):マリモホールディングスでは、2026年度を「人づくり元年」と位置づけ、事業成長を支える人材基盤の強化に取り組んでいます。その中で重視しているのが、「自助」と「共助」を前提とした人材育成の仕組みづくりです。個人の主体的な学習や挑戦(自助)を促しながら、それを組織として継続的に支え、育てていく仕組み(共助)をどう構築するか。この両立が、グループ全体の持続的成長に不可欠だと考えています。
── 人材育成において大切にされていることは何ですか?
高部様(人事部):マリモグループが目指しているのは、心理的安全性を基盤としつつ、学習と成長に向き合う「適度な緊張感」を維持できる組織です。私たちは、単に負荷を下げることや配慮を重ねることが「人を大切にすること」だとは捉えていません。期待を明確にし、成長に向き合い続ける環境を用意することこそが重要だと考えています。
── 素晴らしい姿勢ですね。その一環としてAI面接・AIロープレを導入されたのですね。
高部様(人事部):はい。今回のAI面接・AIロープレの導入は、採用や育成を効率化するためだけの施策ではなく、社員一人ひとりが主体的に学び、挑戦し続けられる共通基盤を整える取り組みです。今後もテクノロジーを活用しながら、個人の自律性と組織の育成力が両立する人づくりを進めていきます。
営業における課題感

── お二人の職務内容を教えていただけますか。
伊藤様: マンション売買の営業担当をしております。新卒で入社し、この4月から4年目に入ります。
胤森様:私はマリモで開発した新築マンションの販売をしています。元々はマリモに入ってからしばらくは事務職に従事していましたが、入社20年目を機に社内の「殻を破れプロジェクト」を利用して営業に転籍し、現在営業職としては5年目になります。
── 普段の営業活動で難しいと感じる点はどこでしょうか?
胤森様:お客様の「本音」を伺うことですね。数千万円という大きな買い物ですから、お客様は「買わされるんじゃないか」とガードを固めて来られます。そのガードを解き、話しやすい環境を作って本音をお話しいただく関係づくりに力を入れていますが、そこが非常に難しいと感じています。
── 関係づくりのために、どのような工夫をされていますか?
胤森様:些細なことですが、まずは天気の話など、自然な会話でのアイスブレイクを心がけています。お客様の不安な気持ちを解きほぐし、ガードを外していただくことを常に意識していますね。
── 伊藤様:はいかがでしょうか?
伊藤様:お客様のニーズを整理することが一番難しいと感じます。価格は安く、間取りは広く、利便性も良い、といったように、お客様はより良い条件を希望されますが、条件に100%合う物件はなかなかありません。条件に優先順位をつける必要があるのですが、場合によってはお客様とは違った「視点」をお伝えすることで、条件を変えていただいたり折り合いをつけていただくこともございます。
「PeopleX AIロープレ」を使ってみた感想
── AIロープレを使ってみて、率直な感想はいかがでしたか?
伊藤様:私はとても有意義に活用できています。対人でのロープレとは違う観点で質問が来るので、自分の知識不足やトークの引き出し不足に気づけたりします。そこで改めてインプットし直して再度ロープレにチャレンジするという、良いフローが組めています。
── AIロープレでご自身の知識不足や苦手なトークがわかると。
伊藤様:はい、その通りです。あとは自分の話し方や営業スタイルを客観視できるので、その点も学びになっています。
── AIロープレの評価についてはどう思われますか?
胤森様:初回の評点はそれほど高くなく、AIからは「具体的に言えていなかった」「結論を先に言いすぎている」といった少々辛口のフィードバックもありました。普段自分では意識しているつもりでもできていなかったことが客観的にフィードバックされる点は、非常に良かったです。私は負けず嫌いなので、ロープレで早くA判定を取りたいという気持ちになって、自然と練習が進みました(笑)。応酬話法の練習にもなり、役立つツールだなという印象です。
── 高い点数を取りたいという気持ちは、新人の方にも良い影響がありそうですね。
胤森様:そうですね。ロープレは事前にシナリオ設定しますし、AI相手ですので「こう答えたら100点なんだろうな」という準備ができると高を括っていたのですが、たとえ相手がAIであっても、会話の流れの中で実践できなければ意味がありません。どういう間で、どういう表情で話せばよいかという練習にもなるので、とても良いと思いました。

今後サービスに期待すること
── 今後、AIロープレにどのような機能があるとよいと思いますか?
伊藤様: 提案に必要な資料を読み込ませて、資料の内容に沿って提案をするロープレをしたいです。実際の接客時は、地図などを指し示しながらご案内するので、そういった資料を使いながらきちんと話せているか、という部分を練習・強化したいですね。
── 資料を活用したトークの練習ですね。胤森様はいかがですか?
胤森様:これはAIで実現できるのかわかりませんが、「顔の表情」「声のトーン」に人間のような変化があるといいなと思います。普段の営業活動でお客様から3つほど要望を提示された場合に、お客様がその中でどれを一番気にされているのかは表情やトーンでキャッチすることが多いように感じています。もちろん質問を重ねることで探っていくなどの方法もありますが、人間により近い心の機微について今後さらに改善されたらすごいなと期待しています。
── 貴重なご意見をありがとうございました。

